甘いもの = 必須要素
――QED、宇宙の真理、もののことわり。
以上、今回のお話終わり。
……
……というわけにもいきませんね。
かくして今回はスイーツの話なのですが、その前に私にとってなぜ甘いものが大切なのか前もって説明せねばなりません。
甘いものが必要なのです。甘いものがなければ生きてはゆけないのです。これは私にとって重要であるとともに頭脳を酷使する翻訳家にとっては不可欠な要素なのです。ずっと(8〜10時間くらい)頭を使って作業をしていると、頭が痛くなります。重くなります。しんどくなります。しかしそれでも仕事やら何やらをしなければならないときがあります。そんなときには甘いものを食べたくなるのです。食べると頭の痛みも取れるのです。少し元気になるのです。昔はその回復剤が餃子でした。食べると頭が楽になるのです。しかし仕事をするようになった今、餃子をそうやすやすとは作れません。換気扇を回してコンロをつけてフライパンに油を引いて冷蔵庫から餃子を出してフライパンに載せて表面に焼き色をつけて水を少量入れて蒸し焼きにして水気を飛ばして皿に盛らなければならないのです。そうすると時間がかかって頭まで切り替わってしまって仕事どころではありません。だから私は翻訳をしながら甘いものを食べますチョコを口に入れますバームクーヘンにかぶりつきますケーキをほおばりますゼリーをすくいますお饅頭をかじりますシュークリームを味わいますクッキーをかみ砕きますパイをもぐもぐしますそうするとなぜか出てこなかった訳語がぱっと出てきてすごいふしぎまあなんてすばらしいんでしょうあははいひひうふふえへへおほほ。そうしているうちに以前より好きだったお菓子がもっと好きになり部屋の中で食すだけには飽きたらず、仕事なんてそっちのけでスケジュールを計画的に調整して仕事を早めに切り上げて外のお菓子屋さんに買いに出かけたり食べに行ったりすることになります。なるんです。正直甘いものでも食べないとやってられませんよ。
というわけで言い訳完了(読み飛ばし推奨)さて本題です。
以上の通り私が甘いものを必要とするのは証明されているので、仕事がせっぱ詰まってて外出たくないよとぐずっててもスイーツ食べられるところに行こうなどと言われたら二つ返事でOKします(安い)。
つまるところ、世の女性がスイーツを三大栄養素の上に置くように、オトメンにとってもスイーツはそのような位置づけになるのです。よって、そのために日々働き、日々行動します。
しかしながら、女性とは違って、オトメンが洋菓子店なりカフェなりのスイーツを置いているお店に行くときには、さまざまな困難がいまだつきまとっているのです。
たとえば、私の例を紹介すると、ひとりで行くときはだいたいテイクアウト、複数で行くときはイートイン。そんな感じです。ですからお店のなかで食べるときは、誰かと一緒に行かなければならないわけですね。
同行する人には男性も女性もいるのですが、たとえ異性とケーキを食べに行くときでもそれはデートではありませんっていうかイートインは神聖なものなのでそんな不純なものではないのですとオトメンは声を大にして言いたい! 世の中の女性でオトメンな彼氏が自分以外の女の子とケーキを食べに行ってそれを浮気だとか何とか言って怒っている人がいたらその人は即刻考えを改めるべきです!
オトメンにとっては「ケーキを食べに行く」ことが大事なのであって「女の子と一緒に行く」ことは別に大きなことではないのですよ! その女性はお友だちのひとりです、もしかすると男性のお友だちよりも(趣味や嗜好の点で近く)気安いお友だちかもしれません。なのに、浮気? あ な た は ス イ ー ツ の 大 切 さ を わ か っ て い な い。なのでそこを規制するとオトメンはその不寛容を嫌がって逃げてしまうので注意してくださいねオトメンを彼氏にしているorしたいと思っている方々。
ってゆうかそもそも一緒に食べに行く人は、すでに彼氏持ちの女の子が多いんですけどね。だからその逆も多い。世の中の男性は、彼女がオトメンと一緒にケーキ食べに行ったからといって怒ってはいけないわけですよ。ケーキ目当てでしかないんですから。そこのところをよく理解すべきであります。
だってなかなか男の友だちで一緒にケーキ食べに行ってくれる人なんていないわけじゃないですかだからオトメンにとってケーキ行脚につきあってくれる女の子の友だちはありがたいわけなのですが、そこにもまだまだ無理解と不寛容による障害が多くて、オトメンとスイーツとの関係はまだまだ良好とはいいがたいところがあるのです。(悲しいな。)
それにイートインにひとりで行けという意見には与しがたいです。だって、イートインはそこでスイーツやら恋の話やらのおしゃべりができて、なおかつお互いに食べてるスイーツを交換とかできるのですよ! ちょっと食べてみる? うんみるみる、みたいなやりとりをするためにあるわけじゃないですか。それなのにひとりで座ってても楽しくないです。
そもそもその女の子が彼氏の方が好きなのは、食べに行った先での話でよおく知ってますから。それくらい惚気を聞いてますから。ね。心配ご無用ですよほんと。あと、オトメンが「モテてる」と誤解していらっしゃる男子の皆様、もう本当に全然そんなことないですよ。確かに女の子の友だちは多いですけどね、でもみんな友だちですよ。友だちが多いってことを「モテる」とは言いませんよね。あくまでもオトメンは、女の子にとって「物わかりのいい男友だち」であることが多いのです。
それはそれで少し悩ましいところもありますが、それとこれとは別の話。
というわけで、三回とも「オトメンはつらいよ」というようなお話で終わってしまったのでした。(でもこれで、オトメンの生態を少しでもわかっていただけたら、筆者としてもとっても幸いです。終わり。)