音楽に関わることを三種類に分けて考えてみた。そのどれもが専門と言えるほどでなく、中途半端に混ざり合っている。子どもの頃、母が近所の子供たちを教えているので、自分も教えてもらおうと思ったが、その頃使われていた教則本がつまらないので、うちにあった楽譜、当時の現代音楽を集めた、いわゆる海賊版から、弾けるところを弾いて遊んでいた。そんなことではいけないと思った両親が、知り合いの音楽家たちに教えてもらおうとしたが、どれも長続きしなかった。彼らも子どもを教えるより、自分たちの生活で忙しく、鎌倉は遠い場所だった。
それ以来、ちょっと離れた場所にいる感じがしている。自分のいるべき場所ではないところで、他人の仕事を手伝っている。自分の場所と呼べるようなところもなく、自分の仕事と呼べるものもない。ところが、他人の仕事と思うものをしていると、それが何か違うものに変わってしまう。
誤解というか失敗というか、そこにある違いを追求していけば、何かポジティブな道が開けるのかもしれない、と思うこともあるが、そんな回り道をするより、何もしないで、待っている方が良いかもしれないし、思いついた断片を並べて見ていると、それだけでいいような気もする。断片が断片である限り、それらの繋がりから、まとまった構成を作り出すより、隙間や踏み外しのある歩行を辿る方がおもしろいかもしれない。
そう思う時もあるが、そうなると、今度は逆に、安定したまとまりができてしまうような気がする。何十年か職業として音楽をやってきた後で、音を辿って遊ぶのは、単純なことではない。