こんさーと

北村周一

しずみそうな
しみずのまちの かわべりの
かすかにうみの においがする
ぎんざどおりの いっかくに
ばーをみつけた
よもふけて
おとこさんにん あてもなく
ぶらりぶらりと かわべりの
とおりをゆけば ひとはまばら
くるまもまばら
しずみそうな
あーけーどがいの なかほどの
よつじのかどの ふるぼけた
はなやのびるの そのにかい
ながいかいだん のぼりきると
ばーはいがいに おくゆきが
あってひろびろ かんじがいい
あたりみまわせば それなりに
みせはしられて いるようで
きゃくもちらほら ひんがいい
せきにおちつき のみものを
ちゅうもんしたら おどろいた
ことにこれから えんそうが
はじまるという
えっここで
こんなじかんに こんさーと
おとこさんにん ねむそうに
かおをみあわせ とりあえず
だんじょふたりの えんそうに
みみかたむけた
しずみそうな
あーけーどがいの かたすみに
ひびくうたごえ ばんそうは
おとこがつまびく ぎたーだけ
きいたことのない うたがつづく
きょくがおわれば はくしゅして
あいまあいまに さけがすすむ
しずかなこえで ばーぼんの
おんざろっくの おかわりを
つげればともは みずわりを
のんあるこーるの とももいて
ときはしみじみ すぎてゆく
かすかにうみの においがする
ばーのかたすみ
わかくはない
おとこさんにん はしゃぐには
としとりすぎて いたのかも
おもいかえせば あのころは
いくらでもそう いくらでも
はなしたいこと あったはず
なのにいつしか かいわらしき
かいわもとぎれ わけもなく
ざっしひろげて みたりして
やがてさいごの すこしだけ
おおきなはくしゅが まきおこり
しんやのらいぶは ほどなくに
おわりをつげた
しずみそうな
しみずのまちの かわべりの
ぎんざどおりの ふるぼけた
びるのならびの そのにかい
したがはなやの かすかにも
うみのにおいが みちてくる
ばーもそろそろ おひらきである