機関車のことなど

大野晋

朝早い電車で1時間ばかり車窓を眺めていると思わぬことに気づくことがある。

小さなとき、住んでいた祖母の家は貨物線の近くだった。定期的にがたごとと貨物列車が通るのを眺めて育った。ときには、お召列車が通ることもあったが、ほとんどの場合には長い貨物列車が通り過ぎた。門前の小僧は毎日列車を見ながら、機関車や貨物車の種類を覚えていった。

機関車の種類は、動力の形式と力を線路に伝える動輪の個数と番号であらわされる。動輪の数は、Aならひとつ、Bなら2つ、Cなら3つという感じで対応している。そして、その前に、電気機関車ならE、ディーゼル機関車ならDの記号が付く。ちなみに、蒸気機関車は記号が付かずにいきなり動輪の数で始まっている。たとえば、D51なら動輪が4つの蒸気機関車。C62なら動輪が3つの蒸気機関車、といった具合で、動輪の少ないものほど速度が重視される旅客用、動輪が多いものは設置面積の多く、より重いものを引っ張る貨物用といった感じで用途が分かれている。

ところで、なぜ、こんな話を思い出したかというと、新川崎に止まった電車の車窓を見ていたら、EHXXXという名前の機関車を見かけたのだ。Eは電気機関車、Hということは動輪が8つ(左右合わせると16個)ということで、車輪だらけの機関車ということになる。実際にはあろうことか、2両が連結された機関車で合わせて8つの動輪がついているという事なのだが、まず、最初から2両連結の機関車が日本にあるという認識がなくてびっくりした。まあ、最近、鉄屋としてはご無沙汰していたということでしょうね。

ということで、近年の不勉強を恥じて、少し鉄分を補充しようかと思う今日この頃です。