翡翠庫1
翡翠庫に瑠璃さえや濡れ、まぼろしも
笛竹はかなき 音(ね)をぞ置く
無知のゆめよ、あとみせて
打つわらべ ゑゐ!
翡翠庫2
翡翠庫にきみは追われ、せめても
ねむりのなかへと歩け。
つゆさえやぬらし、うそぶく巷
世を吠えろ ゑゐ!
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそえ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす
非行詩
なにかを拾得するふたり、
阿部「おや、これで飲むぞ!」
裕己「万札よ、ええわ、もらい!」
ぼけはね、血抜き責め ゑゐ!
(いろは歌は古く「いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ〈えe〉 つねならむ うゐのおくやま けふこえ=yeて あさきゆめみし ゑひもせす」と、〈えe〉がはいっていたのが、eとyeとが同音になった結果、落ちてしまって四十七文字という、はんぱな数になったという学説がある。そこで念願の四十八文字からなるいろは歌(ならぬ自由詩)に仕立ててみる。さいごの「非行詩」は実話で〈時効だろう〉、むかし友人の阿部好臣と兵藤裕己と三人で酔っぱらっていたら、雨で濡れた一万円札を拾ったので、それで深夜映画を観てあさまで飲んだことがあり、痛切にいま反省する作品である。)