オトメンと指を差されて(5)

というわけで今回は、いわゆる男性のなかに混じったときのオトメンの苦悩について書くつもりでした。ぶっちゃけてしまうと、「私は今までこんなことにセクハラを感じて生きてきたのだ!」という心の叫びだったのですが、書いてみたら書いてみたで「これって読む人にとってもセクハラになるんじゃないか」というような内容になってしまったので、一晩考えた挙句、自粛することに致しました。(私にはあんな言葉とても表に出せないっ!)

今でもそうなのかどうかはよくわかりませんが、男子小学生とか男子中学生とか男子高校生とか、とんでもなく「セクハラ魔人」ですよね。「魔」がつきますよ「魔」が。いろんな意味で。子どもだから許されているところもあるんでしょうが。結局「色恋」などと言いますが、基本的に「色」の話しかしませんから。そして女子に「いやらしい」とかいう感じで冷たい目で見られるというのが普通だと思うのですけれど、まあ、そこはそれぞれ異性として距離があるから、他人事として感じられるんでしょうが、真っ只中にいた身としてはどうにも耐えられない環境であったわけです。

私は「色」よりも「恋」の話題の方が好きなんですよ! 没にした原稿のことを考えながら書き直してますけれど、「怨念じみた色」なんて話、聞きたくもないわけですよ! 「嫉妬深い」と言おうか「見苦しい」と言おうか、もうため息しか出ません。

何と言いますか、あの男子と女子の温度差は、何やら二次性徴が女の子の方が早いからという噂も耳にしたりするわけですが、そのことを考えると、私個人はかなり早熟であった記憶があります。身体的に成長が周りの男子諸君よりもかなり早かったんですよね。そういう意味でも、メンタリティ的にそういう温度差があったのだと思うのです。

そんな冷静な考えを持った上で、没原稿を眺めてみると、相当嫌だったんだなということが伺われます。もちろん自分が男の子であることが嫌であったわけではなくて、おそらく男の子として周りの子たちが「紳士的」ではないところに不満があったのではなかろうかと思われます。いや「紳士」ではないか。うーん、「王子的」? マンガとかアニメとか小説に出てくる格好いい男の子はそんなんじゃないぞ、みたいな規範があったのでしょうか。

ほら、自分の原稿見てみると、ため息の成分とか分析しちゃってたりしてますよ。

「その成分は、「あきれ」が50%に、「あきらめ」が30%、そして「絶望」が15%。」

もはや95%くらい負の要素じゃないですか。どうした私。これを書いたときに何か嫌なことでもあったのか私。当時のさわやかさの裏にはこんなものが隠されていたのか私。

そして男の子に突っ込みを入れている文章もテンションがおかしかったりします。

「誰にだ!? その本人に? 世の中に? それはたぶん自分にですよ! 自分の妄想に騙されていたんですよ! 自分のなかにあったそれこそ「偶像」に対して裏切られたとか思っているだけですよ! って本人関係ないじゃないですか!」

これはおそらくあれですよね、彼(てゆうか私なのですが)のなかにあるフェミニズム的な何かの逆鱗に触れたのでしょうね。男の子の持ってしまいがちな「理想像」であったり、「きれいな妄想」であったり、そういうのはすごく嫌悪してますからね。どっちかというと少女マンガ的な「そのままの君が好きだ」的な教条主義を貫いているわけですが、じゃあ現実にそれはどうなのかというと往々にして「そのままの自分」が嫌いだという人もいるので、逆効果だったりするんですけどね。

あ、ここはまともっぽいからそのまま引用してみましょう。

「もうひとつその続きでため息が出るのが、「××がタイプ」などという好み論議。どういう人が好きかとかいうわけですが、私にはどうにも苦手で。別にタイプとかありませんよ。好きな人は好きだから好きなのであって、タイプに合ってるからとか容姿がどうとかスタイルがどうだとか年齢がどうだとかどうでもいいじゃありませんか。そのときそのとき好きな人が好きなのです!

その人が目の前にいて不思議な縁があって好きになったからその人が大事なのであって、別に目の前にいない架空の人とか、未来に会うかもしれないとかいうよくわからない人のこととかどうでもいいんですよ。そういう架空の理想像とか嗜好がないとおかしいなんていう目で見るのは本当にやめてください!」

しかし、タイプ論議は別に男性に限ったことではないから、これは個人的な感想だったんじゃないかなと思わないでもない現在。でも、どちらかというと女性って全体的な雰囲気とかを重視する反面、男性は小さな部分(いわゆるパーツ)を大事にしたりするから、そこに違和感があるといえばあるかもしれません。てゆうかあるんだ。すごくあるんだ。あるんだああああああ。待て。抑えろ私。いいか落ち着くんだ。ここで抑えなければ没原稿の二の舞だ。

にこにこ。

さて、改めて没原稿を見てみると、「ため息」という単語が無数にあります。具体的に言うと32個も出てきます。どれだけついているんだ私。私の少年期青年期において同じ男性たちにいかに不満があったのかが如実に現れる数字ですね。

えっ、今ですか? 今は私も大人になりましたよ。それに不満があったのは主に学校なり何なりで生活をともにしていた同年代の人に対してでしたから、別段、大人の男の人たちにどうとかということはありませんでしたし、周りの人も大人になっているから、特にこれといって。

にこにこ。

(ああ......どうしようもない男の女性に対するろくでもない行動のせいで、日々揉め事に巻き込まれている昔の自分が思い出される......)

にこにこ。(頑張れ! 笑顔だ!)

次回はそのような話をするのかしないのか、そして冷静に書けるのか書けないのか、そのへんも含めて生暖かい目でお楽しみください。