さて、なんとなくタイトルは物騒ですが、本人はいたって物騒なことは嫌いだったりします。まあ、騒ぎを起こすのは好きかな?
このところ、青空文庫で狙っているのは10年留保というベルヌ条約の抜け道で著作権が切れている書籍の登録がひとつです。著作権は現在の日本では50年間保護されるのですが、これがなんとも長いこと。最近の変化の激しい出版の世界では一年一昔の感もあり、10年だととんでもない昔。50年なんて著作が残る年数ではありません。しかし、世界の趨勢は某ネズミ国のロビー活動の成果もあって70年、100年と延びる傾向にある。これが問題。そんなに長く読まれる著作なんてほんの一部なのに、その一部のために全てが振り回されている感じがします。
その伸びる著作権保護期間にあって、10年で著作権が切れてしまうといううれしい制度が「10年留保」。日本の著作権が改正された1970年以前の海外著作であれば、10年間日本で翻訳されることがなければ自由に、翻訳権の取得なしに翻訳出版できるといううれしい制度です。しかも、日本だけのローカルルールというよりもベルヌ条約で認められていた国際的な権利なんですね。(まあ、戦時加算や挿絵などの権利は保護されるなど考えるべき項目は多いんですけどね)これを使って、まだ化石になっていない著作を青空文庫の本棚に置いてみたいなあと思っております。ふふふ。
特に、探偵小説、ミステリーといった分野は昔から少数のコアな推進役(出版、研究、そして執筆)とコアな読者が中心になって形作られていますから、比較的書誌情報は整備されていますので、この分野のオールドミステリー(クイーン、クリスティあたりの初期のものまで入りそうですが)を中心に探して見たいと思っています。
もうひとつは校歌だとか、県歌だとか、寮歌だとか、そういったものを青空文庫に収集していきたいなあと。以前から、野口雨情の童話を登録してみたりと「うた」を入れておきたいという気持ちはあったのですが、昨今の流れから過疎化や市町村合併から古くからある小学校などが廃校になる事態が進んでいますし、そうでなくても古い歌詞は難しいので今の子の感性にあわないと、校歌が作り変えられることが多くあります。しかし、そうやって、捨てられた歌は残念ながら卒業生や古い地域の住民の記憶に残っても、やがてはそういった人たちの存在とともに消えていってしまう命。ならば、記録として、どこかにアーカイブしておきたいなあ、というのが背景です。
とりあえずは長野県歌「信濃の国」の作詞者の浅井冽が書いた校歌が松本市教育委員会が編纂した書籍にまとめられていますから、これをなんとかやっつけようかと。もひとつ背景としてあるとすると、まあ、消えていく存在として寮歌というものがあって、自分も随分とお世話になった寮歌をどこかに残せないものだろうか?という思いがずっとあったというのもあります。(春寂寥なんて前説からしていいですよ)大学の寮自体の存在が変化し、そしてその存在自体がなくなろうとしているとすると、そこに大正の時代から綿々と存在した寮の歌というのもどこかにのこしたいなあと。
ただ、難しいのが著作権の確認が非常に取りにくいんですね。もともと、当時旧制高校の学生だった(私の専門学部の方の寮歌は実は先生も作っていたりもするんですが)作者をどう特定して、著作権の有無を確認しようとすると大きな壁が立ちふさがっています。ただし、寮歌の存在自体は、昔から寮歌として採用されたら公共物と、今でいうパブリックドメインあつかいだったりしますから、過去、現在の寮生に言わせると、そんなもの、出して文句を言われる筋合いじゃない、ということになるんですが。
一部の著作権管理団体に管理委託されている作者の寮歌ではない限り、実際の問題は少なそうに思っています。これも、どういう手順、どういう手続きを持って、青空文庫の本館に置けるか?というのが当面の課題です。当面の長野県歌をやっつけたら、次は土井晩翠作詞の旧制松校校歌かなあ。。。
話は変わりますが、青空文庫のアクセスランキングリストというのが最近公開されましたが、これをぱらぱらと見ていると面白いことに気付きます。なんと、テキスト版とHTML(Web)版とでランキングに上がっている著作の構成が違うんですね。Webの方はどうも有名指向というか、文庫本などのランキングに近いものがあるのに対して、テキストはあきらかにミステリー指向。ずらっと探偵小説、推理小説、スリラー、ミステリーが多くランキング上位に並んでいます。たぶん、テキスト版はiPodやiPhoneに入れると持ち歩けるために、通勤や通学、旅行などの合間に読むためにダウンロードしているのだろうなとの推測ができて面白い。日本人、やはり、かなりのミステリー好きのようです。このランキングに新しいカテゴリーから何件入るか?楽しみです。
以上、小さな野望ですが、過去、青空「時代劇」文庫化計画や青空「探偵小説」文庫化計画、青空「大衆文学」文庫化計画などをしかけた(と本人は思っている)だけに、また、当分、こういった感じでなにが起きるか楽しもうと思っています。
やはり、私って物騒な人間かもしれません。