ゴマ

笠井瑞丈

うちに来て四年半
碁石チャボのゴマ
とりあえずボスです

そして今年来た
白チャボのナギ
暴れん坊です

今年亡くなった
白チャボのマギ
おっとりです

鳥さんとの共存生活
ともにいろいろな所にも旅した
うちの中に光を灯してくれる存在

うちは部屋の中で放し飼いにしてる
鳥さんをそのように育てているのは
かなり珍しいと思っている

うちにやってきて
自分で自分の場所を探し
自分で自分の生活を始めた
だから自由にしてあげたい

それが共存だ

向こうには向こうのルールがあり
こちらにはこちらのルールがある

朝自分でテレビの裏から降りてき
昼間大抵は大好きな枕の上で昼寝
夜は自分達の場所のテレビの裏に戻る
そして僕が寝るのと同じに眠りにつく
基本はこのルーティンの繰り返しだ

しばらくして

一番大事な行事の産卵期がやってくる
基本二日に一個卵を産む
そして多い時は毎日産む
そして三週間くらい続く

それが過ぎ放卵期がやってくる
じっと24時間卵を温め続けるのだ
テレビの裏に長い時は2ヶ月近く篭る
体力をすり減らしただただ卵を温める
仕方なく強制的にご飯を食べさせる
そうしないと自分の身体を削ってでも
卵を温め続ける

人間は誰かに教わらなきゃ何もできないのに
鳥は誰に教わることなくそれを本能で行うのだ

チャボには
全動物には
それができるのだ
これは本当にすごいことだ

生命とは不思議なものだ

しかしそんなゴマが
肺炎になってしまった
巣篭もり中で体力が
落ちていたのだと思う
そしてもうだいぶのお年だ
呼吸が荒く
何も食べない
全く動かない
歩いても
ヨタヨタ

正直かなり危険な状況
注射器に栄養剤をいれ
口に流して食べさせてる

全く自分から食べようとしなくなった
野生であれば自分で食べれないということは
それは遅かれ早かれ死を意味していることだ
それがきっと自然の正しい在り方なんだろう

だから僕がやっていることはそれに逆らう行為
それでも構わないので前のように戻ると信じて
看病する

きっと良くなる
きっと良くなる

先日お世話になっていた
衣装デザイナーが亡くなった
ギリギリで病院に駆けつけることができた
話しかけると手をあげたり目をパチパチさせ
最後の力を振り絞って会話ができた
作ってもらった衣装を着て行ったので
とても喜んでるように感じた

人間であろうが
動物であろうが
平等にいつかは
死は必ず
やってくる

お見舞いに行った一週間後
息をお引きとりになった

そして今日これを書き終えた今
ゴマちゃんが旅立った

大好きなマギちゃんのところへ

たくさんの思い出をありがとう

どうぞ安らかに