六月

笠井瑞丈

六月は一年の中で節目の月
一年の中で折り返しの最後の月と言う事と
自分の誕生日月だからだ

十代の時には二十代を夢みて
二十代の時に四十代を想像した

そして今その答え合わせをしてみる

自分が夢見て想像した
世界がはたして
ここにあるだろうか

やはりまだ夢見て想像した
世界だとは言えない

テレビや雑誌で
夢が叶いましたという事を聞く
そう言う意味で言えば僕は

まだ夢の中だ

だからといって今の状況に
不満があるというわけではない
今は今の状況を楽しんでいる

ただまだ覚めぬ夢の中

夢を見る四十代
あまりいないと思うけど
夢なんて一生見ていいものだ

誕生日6月16日

ふっと思い立って車で
一人で遠出をしようと思う

目的地は金沢

上村なおかさんが
北陸ダンスフェスティバルで
週末ソロを踊るのでそれを
見に行こうと思ったからだ

金沢はなおかさんの故郷
年に数回チャボと二人で車で帰る

しかし今回はチャボと一人だ
午前の仕事を済ませ夕方出発
東京から松本まで高速に乗り
松本から高山まで山道を走り
高山から金沢へと向かう

この車の時間が
僕はとても好きだ

全てから解放され
好きな音楽をかけ
好きな事を想像し
好きな歌を歌う

大きな景色だけが
包み込んでくれる

夢という車に
ガソリン補給
そんな時間だ

金沢21世紀美術館
北陸ダンスフェスティバル
AプロとBプロを見る
二つとも面白いプログラムだった

なおかさんのソロは特に良かった
自分には絶対できない踊りだ

まだまだ人生も踊りもこれからだ

まだ覚めぬ夢