家族でドイツに渡り
1985年僕は母と兄を残し
父と二人で日本に戻った
最初友達もいなくて
話し相手と言えばもっぱら祖母だった
そいう事もあって
僕の方から習いたいと
言ったのか記憶がないのですが
ウチから10分位のところにある
公共施設みたいな所で
毎週日曜日の朝
合気道のクラスがあるのを見つけた
そして僕はそこに通うことになった
先生は当時25歳くらいの男の先生だった
今で言えばとてもイケメンの先生だった
当時僕がハマっていた刑事ドラマ西部警察
そこに出ていた俳優さんにも少し似ていて
とにかくかっこいい先生だった
子供のクラスは僕を含め2人しかいなかった
そのもう一人の子とは正直僕はソリが合わず
よく喧嘩をしたことを思い出す
その喧嘩をいつも止めるのが先生だった
いつも優しい声で僕らの間に入った
真冬の道着の着替えはとても寒かった
先生の黒い大きな袴を着る姿がいつもかっこよく見えた
日本に帰ってきて初めて触れたかっこいい大人だった
そこでは色々なことを教わった
挨拶から合気道の基本まで
特に受け身をたくさんやった
あの時に習ったことは
今でも僕の体に染み付いてる
それは今ダンスにも通じるものがある
そこからしばらくして場所が府中に変わり
バスで通うことになった
そして多分中学生に上がる頃に
僕は合気道を辞めてしまった
大好きだった先生は今どこで
今も道場かあった所を通ると
いつも思い出す
先月いま病と闘っている恩師に会いに行った
僕にとってはダンスの道を作ってくれた人だ
もう気づけば20年以上お世話になっている
よく一緒にお酒も飲んでたくさん話をした
そして色々なことを僕に教えてくれた人だ
久しぶりに会う先生と目を合わせて挨拶した
すっと吸い込まれそうになったあの瞳の輝き
あんな美しく悲しい瞳を見たのは初めてだった
久しぶり色々な昔話をする
当時の事が鮮明に思い出す
最近は未来を想像することより
過去を思い出す事の方が多くなった気がする
それはきっとこれから起こることよりも
過去の分量の方が
多くなってしまったからかもしれない
でも未来に希望を持ってない訳ではない
僕の大先輩の伊藤キムさんのカンパニー名は
『輝く未来』というネーミングだった
僕はこのネーミングは
いつも素敵だと思ってた
もう解散して何年も経ちますが
来年また復活するらしいという話を聞いた
ずっとパンクして動かさなかったバイク
ずっとエンジンをかけていなかった
これはあまりにも可哀想だと思い
久しぶりにバイクのカバーを取り
エンジンをかけるため
キック式でかけてみる
というのもこのバイクはセル式ではなくて
キック式しかないバイクなのだ
何度キックしてもかからない
ずっとほったらかしにしてたらか仕方ない
キュルキュルキュル
キュルキュルキュル
諦めかけた最後のキック
ブーンと久しぶのエンジン音が響く
またバイクに命が宿った瞬間だ
バイクといっても一つの生命なのだ
やっぱりちゃんと手入れをしなくては
バイク屋に連絡して修理の依頼をする
乗っていく事が出来ないので
かなり重いので面倒なのだけど
バイク屋に手で押しながら
トボトボと歩きながら運ぶ
しばらく続く狭い道で
角から合流した若いカップルが僕の横を歩く
なんでバイクを押してるんだろうという顔で
チラチラ僕の方をたまに見てくるので
ちょっと気まずい雰囲気だと思い
パンクしちゃってと話をする
向こうは笑顔で運ぶの大変ですねと
そして次の角で挨拶して別々の道に
バイクの修理が一日では終わらないと言う事で
バイク屋にバイクを預けていく
そしてまた同じ道を帰ろと思ったけど
それはつまらないと思い違う道を選択
花粉が飛び始めたとても暖かい日だ
途中コンビニでビールを買い歩きながら飲む
まだ陽がある時から飲む歩きビールは最高だ
途中小さな看板で合気道という文字を発見
ガラス張りの小さな合気道の道場がそこに
中には黒い袴を着けた真っ白な髪の老人が
僕に気づいて外に出て来てパンフレットを
少し立ち話をして
昔少し合気道をやっていた話をする
しばらく話してるうちに
はっ
あれっ
もしかして
その瞬間一瞬なにか真っ白な光を感じた
これが運命なのだ
本当にベートーヴェンの運命が
かかった位の衝撃が走った
また再会する人とは
不思議なもので再会するものなのだ
運命というものはこういう事なのか
40年ぶりに先生にお久しぶりですと
そしてありがとうございますと
ちゃんと挨拶する事ができた
とても嬉しい気持ちになった
やはり未来は明るい
翌日バイク屋からバイクが直ったと連絡が来る
バイクを無事引き取り久しぶりにバイクに乗る
帰り道はバイク屋に持ってくる時の道で帰ろと
持ってくる時は大変だったと思い出しながら
帰りはとても楽ちんだなと思いながら帰る
向こうから若いカップルが
僕に笑顔で手を振っている
あれっと思いながら
昨日のカップルに同じ道で会うという偶然
これもまた運命だと
僕も笑顔で手を振った
未来は明るい