引きこもりの五月のことをつらつらと

仲宗根浩

五月、梅雨。雨が降ると涼しくてすごしやすい。雨の後、太陽さんが出てくると、雨にぬれたアスファルトは容赦ない太陽さんの熱でアスファルトに浸み込んだ水分をとばすにおいと熱で汗まみれになる。

何年ぶりだろう、こんな台風。職場で台風のための養生が終わり、暴風域真っ只中、車で帰宅。久しぶりの暴風域の中の運転は怖い。途中の信号はいくつかは停電で機能していない。ある信号機は三つのうちの一つの電灯が外れ、コードだけを頼りに風にぷらぷら揺れている。そんな信号を過ぎると対向車、ヘッドライトのハイビームを落とす。対向車が過ぎ、ハイに戻したとたんに、目の前いきなり風で折れたでかい木の幹。完全によけることはできない。少しだけハンドルを切り幹を避け枝のところを乗り上げなんとか通過する。信号が赤で止まる。信号は強風で揺れ、停車した車も揺れている。信号、折れずに耐えてくれ。信号が青に変わると加速、するとまた目の前に折れた木の幹。さっきと同じようにかわしながら駐車場前までたどり着く。シャッターを開け車を入れる。駐車場から家まで歩く。何が飛んでてくるかわからない。注意しながら、といっても風が舞っているのでどこから何が飛んでくるか見当つけようがないまま家にたどり着いた。家の中では隙間風は高い音をたてて部屋の中に入ってくる。幸い停電はなく、台風は過ぎた。台風の中を走った車は海水混じりの雨と木の葉くっつけたままで仕事先に通い、台風が過ぎた二日後にやっと洗うことができた。

五月は仕事以外は家に引きこもっていたが、一日だけ日曜日に休みができたので辺戸岬まで家族四人で行く。以前に来たのが幼稚園児のときが小学校に入るかくらいのことなので四十年振りくらいか。昔の記憶だとガードレールのない断崖の曲がりくねった道の記憶があったが、高速道路をおりて北上する58号線は本部半島を過ぎても海岸線を走る。途中新しいトンネル工事の現場があり、もう少し短時間で辺戸まで行くことができるのだろうか。2時間弱で沖縄本島の最北端の岬に着いた。岬の左は東シナ海、右は太平洋。曇りなので与論島を見ることはできなかった。断崖から下を見ると丸いブイなどの漂流物が岩場に打ち上げられている。断崖マニアにはたまらない場所。磯釣りを楽しむ輩はこの断崖を降りていくが、断崖好きでもそこまでの勇気はない。お昼前に辺戸岬をあとにしてお昼ご飯どこで食べるか、せっかくここまで来たのだからピートゥステーキ丼を食いに行こう、と提案するもすぐに却下され名護でも評判の沖縄そば屋へ。いつかひとりでも行ってやる。ピートゥ、中部あたりではヒートゥ、イルカのステーキ丼を食いに。