アジアのごはん(70)食べない選択

森下ヒバリ

戦争法案に気を取られているうちに、フクイチは大変なことになっている。フクイチ・ライブカメラという24時間の監視カメラが幾つもあるが、それを監視していて、動きがあった時にまとめて見せてくれる人たちがいるおかげで、蒸気が噴出したり、ぴかぴか閃光が走ったり、地面が揺れたりしているのをダイジェストで見ることができる。これらを見ていると、ちょっと絶望的な気持ちになってくる。なにがアンダーコントロールだ。

今年の4月後半からフクイチからは連日、蒸気がモクモクと出ていて、たいへんな量の核種が日本中にまき散らされているようだ。これを海霧と主張する人たちもいるが、映像を見ればフクイチの地面から噴出しているじゃあないの。

去年、京都のマンションの三階に引っ越してからSOEKSのガイガーカウンターで線量をはかってきたが、それまでだいたい0.08〜0.12マイクロシーベルトで0.1を越すことは少なかったのが4月の終わりから0.12~0.16マイクロシーベルト位になって、0.1を下回ることがなくなった。(この器械は他の日本製より高めに数値が出る)ときどき、高い数値がいきなり出たりするので、ドキドキするが、しばらく計りつづけていると、平均値が出て来る。

始めの頃は、カバーのビニール袋にセシウムでも着いているのか、と取り換えてみたり、場所を替えたりしてみたが、どうも全体に線量が上がっているとしか考えられない。ああ〜。家だけでなく、近所の友人宅や、大阪に出かけた時にも計ってみたが、だいたい同じぐらい、大阪は京都よりも少し高めだった。ちなみに、先日タイから一時帰国した友人がバンコクで計ってきた値は0.04。

先日、一週間ほど東の方に仕事に行っていた同居人が京都に帰って来たので、ちょうど遊びに来ていたOリングの達人の友人にチェックしてもらったら、身体からわずかだが放射性物質の反応が出た。ヒバリにはなかったし、気管や肺からは反応しなかったので、やはり東の方で食べたものからもらったようだ。実は同居人からは8月にチェックした時も反応が出ている。(それはモリンガで排出されていたのだが)3.11以来、何度となく東日本に仕事に出かけていても、これまで反応が出たことはなかっただけに、今年後半のうちに2回も出たのには、正直驚いた。

たかだか一週間外食が続いたら、どこかの時点でセシウムを取り込んでしまう可能性が高いという、外食状況はかなりまずい。家で食べるものにはかなり気を付けているが、原発事故から4年半が過ぎて、正直気持ちがゆるんでいた。今、核種がどんどん飛んでいるとなると、2011年事故当時ぐらいの慎重さが必要だと思う。で、おさらい。

セシウムなどを集めやすい食べ物は、山菜・きのこ・お茶の葉、果物、イノシシなどの野生動物、大型の魚類、海の底に住むヒラメなどの魚や貝である。個別に安全が確認できれば問題ないが、確認できない場合は避けるしかない。関西に住んでいるので、これら要注意の食べ物は、スーパーなどでは東日本以外のものをわりと簡単に選べるのが楽だ。産地偽装が無ければ、だけど‥。ただ、回転ずしやチェーン店の外食は、きっぱり避けている。これは日本中どこでも安価な汚染地域、または放射能が検出されて流通できないはずの食品が使われている可能性が高いためだ。

もう飲んじゃったという人も多いとは思うが、今年の新茶は2011年に汚染された地域以外の産地でも反応が出ているので、残念ながら今年の新茶はどこの地方のものも飲まないほうがいい。Oリングでのチェックなので、信用できないと思う人は仕方ないが。これまで反応の出なかった愛用していた茶葉から出たのには心底悲しくなった。わずかな反応とはいっても体に悪いレベルの反応なので、飲み続けるのは危険である。もったいないなどとはいってられない。

魚はとくに気を付けたい。福島近海産はもちろんのこと、北太平洋のマグロはもう危険だ。マグロは肉食で生物濃縮のかなり上位にいる。マグロがどうしても食べたいなら、インド洋産か南太平洋産のものを選ぶ。分からない場合は食べない。事故からすぐは、まだ生物濃縮されていなかったのだが、最近はかなり濃縮されている模様‥。もちろんマグロはセシウム以外の鉛やPCBなどの重金属・有害物質の蓄積も多い。

カツオは、南太平洋産のもので九州で陸揚げされたのものだけ食べる。南から上がってきた初鰹はまだしも、日本沿岸の戻りガツオは福島沖を通るので、食べない。江戸前の海産物も避ける。東京湾の汚染は福島と同程度と言われている。

さんまの内臓と骨は食べない。骨はストロンチウムが溜まっている可能性が高いので、さんまに限らず魚の骨は食べない。骨ごと食べる小魚は必ず西のもの。セシウムは筋肉に溜まりやすいが、内臓は鉛などほかの重金属などが溜まりやすいので、注意。

外食するときに海産物を食べるなら、なるべく信用できる店で産地がはっきりしているものを食べるしかない。東日本での海産物の外食はロシアンルーレットになってきたと思った方がいいかもね。

三陸の漁業関係のみなさんには申し訳ないが、うちでは海産物は太平洋岸のものは三重県以西、青森より北のものを食べるようにしている。海産物を食べる量をもっと減らしていくべきなんだろうな。魚好きの人間にとっては辛いが、まあ分かっていたとはいえ、そろそろ腹をくくるべき時期なのだろう。フクイチからの汚染水はだだ漏れで、トリチウムの危険性も分かってきた。海の汚染はじわじわと引き返せないところまで広がっている。

かつて、60歳以上の人間はセシウムなど食べてもあまり影響がないなどと言われていたが、それは影響を受けやすい若い人の細胞に比べれば、と言う程度の話である。セシウムの反応が出た同居人は、一度目の時のチェックでは甲状腺や内臓に反応が見られ、さらにその影響と思われる唾液腺ガン前駆症状(ほっとくとガン化)、声帯ポリープが見つかった。体内のセシウム排出にモリンガの粉末カプセル4錠×2回×21日が必要とされたが、それらの症状もこれでなくなると出た。つまり、わずかなセシウムであっても体内にあると、その近くの器官に影響を及ぼすのである。(ちなみに、これまで体内被曝している反応が出た知人たちに処方されたモリンガの量はこの10倍ぐらいだった)

以前の水牛通信にも書いたが、セシウムもわずかな量ならモリンガ、スピルリナ、ゼオライトで体内から排出が出来る。ゼオライト鉱石は飲みにくいが、汚染の心配のない産地の粉末のものを入手して、コップ一杯の水に小さじ一杯溶かし、しばらく置いといてその上澄みを飲む。野菜を洗う水に少し加えたりするといい。きちんと作られた汚染の心配のない発酵食品も重要。

まじめに、きちんとお茶や果物を作っている人たちのことや、海で生活している人のことを考えると、どうしようもない気持ちになるが、これが現実である。食べて応援などできないし、応援などにはならない。事故を起こした東京電力はもちろんのこと、原子力産業を日本に誘致した中曽根元首相はじめ原子力を推進してきた自民党の政治家・官僚、原子力産業の企業、そして電源全喪失はありえないと言って、事故に備えなかった安倍晋三、直ちに影響がないと繰り返した当時の民主党政権も含め、責任を取るべきは彼らであって、わたしたち個人のいのちや健康ではない。