164擬俳

藤井貞和

灰色の虹 六月に立ちにけり

(炉心にくべよ燃ゆる声の火)

思想の詩終わる六月 逢いがたし

(遠雷の句をきみはのこして)

炎天に苦しむこともなくなろう

(涼しきを見よ句稿のうずに)

かかる時かかる六月 きみが問う

(貨客船影火の五七五)

水売りの声 幽明のさかいより

(野の花の忌のななたびの日に)

 

(清水昶の晩年は、五七五のすしざんまい。五月三十日は七回忌でした。おいらにはまったく「からきし」で、六年まえの追悼句のままです。昶さん、ごめん。)