想像の先にある想像の世界

笠井瑞丈

北海道までの車旅
ただただ車を北に走らす
見たことこのない景色を想像し
夕方の青森港のフェーリ乗り場
初めて車に乗りながら船に乗船する
暗闇を掻き分け冷たい深い海を渡る

70年前ここで起きた洞爺丸事故
1000人近くの人が亡くなった

この海で祖父は命を
この冷たい海の中で
最後の刻を迎えた

想像できない
苦しみだっただろう

そんな事を考えて
函館港が暗闇の向こうから
少しずつ少しずつ迫ってくる
同じ日本なのに外国に旅してる
初めて車に乗りながら船から下船
窓を開け冷たい空気を吸い込む

『はるばる来たぜ函館』
北島三郎の曲をかけてみた
遠くに輝く函館の街を左に
再び広い道をただただ北へ
高速道路ヘッドライトの前に
鹿が歩いている
北海道に着いた

室蘭で車中泊

日本最北端の宗谷岬を目指す
漁港の近くにある海鮮食堂へ
海鮮ラーメンを食べ出発する
高速に乗り札幌を抜け
海岸横を走る231号線
夕方宗谷岬に到着
海の向こうの景色を想像する
この向こうにはすぐサハリンが
どのような生活があるのだろう
ただ想像してみる

枝幸町で車中泊

網走を目指す
一度行ってみたかった網走刑務所
あまり観光スポットは行かないけど
ここに来て知ったのだけど
昔は違う場所にあり
昔あった場所から移され
今は博物館として運営されている
よく何棟もあるこんな大きな建物を
ここまで運んで来れたものだ
博物館から10分くらい離れたところに
今の網走刑務所がある
正門まで行ってみる
この壁の奥にはどのような景色が
どのような生活があるのだろう
ただ想像してみる

釧路で車中泊

帯広を抜け苫小牧へ
車の旅での生命線と言ってもいい
シガーソケットが故障してしまう
携帯の充電
バッリーの充電
全てができない
近くのディラーに車を持っていき
修理可能かみてもらう
部品の交換が必要で
部品の取り寄せには
一週間かかるとのこと
待つことはできない
諦めオートバックス
簡易的なシガーソケットが置いてある
店員にこれをつけれるかと尋ねてみる
とても親切な店員さんがなんとか
応急処置的に裏の配線からうまく線を繋ぎ
シガーソケットをつけてくれた
予定外の時間をロスする
この旅一番の危機を脱して
目的地の函館を目指す

函館で車中泊

函館港で車に乗りながらフェリーに乗船
帰りは青森港ではなく大間港を目指す
一時間半の船旅大間港で下船
なぜかまだ家には程遠いのに
戻ってきたってという気分に
広い北海道を大体一周した
あとは現実の世界
東京に戻るだけだ

どこにいたとしても想像すれば
そこはヨーロッパにもなるし
そこはニューヨークにもなる

でもやはり旅というのは
その土地の匂いや空気に触れ
まだ見たことのない色そして景色
そこに行かなきゃ感じることのできない
想像の先にある想像の世界なのだ

まだ無限に広がる
想像の世界を
どこまでも
見たいと思う

また旅に出よう