朝起きたときにはすでに降っていた雨がお昼すぎにやんで、一瞬のあいだに陽ざしが出てきて明るく暖かくなりました。長い夜がやっと明けたような11月の午後です。
「水牛のように」を2016年11月号に更新しました。
藤井貞和さんの詩はわかりやすいとは限りませんが、わからなくてもおもしろいと思うのは、「希望の終電」というタイトルに見られるような、藤井さんの現実のとらえかたのせいであり、またそこから出てくることばの力でもあります。うたうのは土人と言われた側であり、しかもいつだってチョー過激です。
いまちょうど読書週間らしいので、分厚い翻訳の本を2冊紹介します。翻訳者はふたりとも水牛でおなじみ。
出版順で、まずは『翻訳のダイナミズム:時代と文化を貫く知の運動』(スコット・L・モンゴメリ)翻訳は大久保友博(大久保ゆう)さん。ありそうでなかった翻訳の世界史です。500ページ。
そして『アメリカーナ』(チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ)翻訳はくぼたのぞみさん。アフリカ、アメリカ、ヨーロッパの「三大陸大河ロマン」とオビにあるだけあって、544ページ、しかも2段組みです。
ところどころ拾い読みしながらも、机の上に積読状態で、精読する時間を探している読者としては、どうしてこういう仕事がきちんと出来るのか、いつか聞いてみたいものだと思います。
片岡義男さんの書き下ろしエッセイ『万年筆インク紙』を担当しました。晶文社から11月11日に発売の予定です。これは288ページで、ふつうより少し厚めかな、というところですね。「青は思考の色だ。思考の跡は青いインクによる文字として残る。」というわけで、いろんな万年筆やインクや紙を試した片岡さんから送られてきたインクなどがたくさんたまっているのです。使いきれるのでしょうか。
それではまた!(八巻美恵)