2020年5月1日(金)

水牛だより

晴れて急に気温が高くなった今日の東京。マスクをして午後の町を歩くと、光は満ちているし、そこここの庭にも路端にも花々は咲いていて、季節は美しいのでした。人と会わない道ではマスクをはずして歩きます。そうすると花の香りや風の香りが気持ちよい。この先もっと気温が高くなってもマスクは必要そうな状況ですが、顔をなかば覆うことにいつまで耐えられるのか? 先は見えないまま、どう行動することが正解なのかわからない世界を生きる日々です。

「水牛のように」を2020年5月1日号に更新しました。
初登場は映画監督の越川道夫さんです。まだお会いしたことはありません。ツイッターで毎日のように越川さんが投稿する小さな植物や鳥や猫や子どもの写真を見てきました。写真に言葉はほとんどついていないのですが、どのような被写体に興味があるのかわかります。越川さんがつけた「人嫌い」というタイトルがすべてを物語っています。人が嫌いな映画監督、おもしろいですね。

先月も引用した『日々の子どもたち あるいは366篇の世界史』(エドゥアルド・ガレアーノ 久野量一訳 岩波書店 2019)から、今月も5月1日(メーデー)のところを以下に。

五月一日 労働者の日
 協力して飛行する技術とはこういうものだ——一番目に飛ぶ雁は二番目の雁に道を開き、二番目は三番目が飛ぶ準備を整え、三番目が飛ぶときの力が四番目を飛ばし、四番目は五番目を助け、五番目の推進力が六番目の背中を押し、六番目は七番目が飛ぶ風を送ってやる……
 一番目の雁は疲れると、群れの最後尾に回って別の雁に場所を譲り、その雁が、群れが空を飛ぶときに描く例のV字形の頂点に行く。全員が後ろに回ったり先頭を行ったりと入れ替わる。先頭を飛ぶから自分が上級の雁だと思う雁はいないし、最後尾を飛ぶから下級の雁だと思う雁もいない。

来月も無事に更新できますように。

それではまた!(八巻美恵)