2月某日 臨床哲学者・西川勝さんを囲むオンライン読書会に参加。課題図書は宮沢賢治の「マグノリアの木」。中国の西域を思わせる、霧の降る険しい山谷をひとり旅する諒案(りょうあん)。もう何度読んだかわからない、ぼくが大好きな賢治寓話だ。
「あなたですか、さっきから霧の中やらでお歌いになった方は。」
「ええ、私です。またあなたです。なぜなら私というものもまたあなたが感じているのですから。」
2月某日 西川勝さんが発起人をつとめるエッセイを中心としたZINE『かなりあのたまご ケアする人の文芸誌』(ハザ)が届く。西川さんの巻頭言の一部を引いておこう。
「タイトルの「たまご」というのは、準備号というほどの意味である。『かなりあ』というのは近い将来に発刊する計画の文芸雑誌の予定タイトル名である。重度訪問介護などのケア業務を仕事とする人たちが中心になって組織された読書会および文章教室での活動が源泉になっている。……ケアに関わる人たちが仕事をしながら、文章を書いていくことで、何が生まれるのか、明確なイメージはいまだ持ち得ていない。とにかく、やってみようということになったのが実情である」
文庫サイズの糸かがりの冊子。「顔」「声」「場所」などをテーマにした短文が集まっている。手乗りの黄色い鳥のような本から、どんな歌が聞こえてくるのだろう。
2月某日 韓国発のヤングアダルト小説、チョン・スユン『波の子どもたち』(斎藤真理子訳、岩波書店)が届く。「10代からの海外文学」、岩波のSTAMP BOOKSのシリーズの一冊。北朝鮮を脱出した若者たちの物語。心して読みます。
2月某日 今月は編集や執筆や学校の授業のために膨大な資料を読んだ。その代わりに本を読めなかったし、どこにも行けなかった。