プールサイド

北村周一

ひたひたと
歩き回るは
なんぴとか
すでにプールの
みずは抜かれて

  からっぽの
 プールの底に
  身をしずめ
  動く右手は
 ペンキ塗る人

そらいろの
補色のいろに
昏れながら
プールの底の
塗り替えを急く

  塗りのこし
 見比べにつつ
  プールより
あたま上げおり 
 刷毛持つ右手 

プールへと
降りゆくきみ
塗装工にて
みずいろの
使者のごとしも

  塗り終えて
 ならび立つ影
  ひのくれを
プールサイドに
四、五本の刷毛

みずみちて
浮かび上がりし
みずいろの
水底はみゆ 
プール塗り終う

   瑞々しき
においこもれる
   夕まぐれ
 プール開きの
 予感にみちて

ゆびからめ
金網越しに
見入る子の
目にはさやけし 
プール満水

  かげりなき
  空の一部を
  みたしめて
プールサイドへ
 溢れ出すみず

掛け声は
プールサイドに
こだまして
初泳ぎまだ
水は冷たそう

    忽ちの
 雨降りそそぎ
  沸き上がる
  子らの叫喚
 プールを奔る

雨上がりの
プールサイドに
群れいたる
スズメにぎわし
溜まりの水に

  ひとの子の
 背丈のほどを
  洩れ出づる
  水の音あり
プールサイドに

なつやすみ 
水着のいろも
まちまちに
静かなるかな
開放プール

    裏窓ゆ
うすみずいろの
  かげりさし
すずしかりけり
  学校プール