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上級生の
吐息がかかる
ウラギルナ
捩じ曲げられゆく
人差し指は
背
景
論
いわゆるBG論についての考察その【序】の二
以下は
日々携行しているミドリの測量野帳からの
移し書きでもあります。
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いまは市営のアパートが一棟建っているだけなのだけれど、
そこはむかしは屠殺場だった。
姓は忘れてしまったが、富士人(ふじと)くんの家でもあった。
かれは、ぼくよりふたつ年上で、三人きょうだいの末っ子。
上にふたり姉がいた。
ぼくら一家が越してきたときにはすでに屠殺は止めていた。
ついこの間まで屠殺していたことを聞いて、
ぼくはすこし残念におもった。
屠殺場の
ゆかの黒きを
みつめつつ
友の吐くその
白濁の唾
昼なお暗き
屠殺場のなか
床黒き
わけをききにき
耳打ちされて
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屠殺場の
慰霊碑を翳す
柘植の枝の
横に伸びたる
さま近寄れず
クモの巣に
透かしみている
青天へ
挑みかかれる
雨雲の群れ
どんよりと
海かぜ澱む
この町の
はたて巣くえる
ジョロウグモの巣
黒に黄の
縞縞絶えて
うごかずば
女郎蜘蛛かも
ひと待ち顔に
屠殺場に
アブラゼミ鳴き
迷い来す
イヌネコさらに
人待つオンナ
電柱の
かげ踏む女
したたかに
哭きいるセミの
翳に重なる
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富士人くんの家は、黒く塗られた板の塀で囲まれていて、
裏手におおきな屠殺場があった。
かれの自宅では時折寄り合いがひらかれた。
新年会も催されていた。
とさつ場に
婦人ばかりは
松のうち
あたりたゆたう
甘き香は何
ゆのみもて
くず折れし人の
手許より
床にしたたる
赤玉ワイン
肌襦袢
みだれしひとの
靠れいる
窓のべあわれ
湯呑の落ちて
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屠殺場の
コンクリートの
床鳴らし
遊ぶわれらの
ローラー・スケート
濁音は
頭に充ちやすく
どざづばの
ゴングリ土間に
ずべるズゲード
当時ローラースケートが流行っていた。
屠殺場のコンクリ土間はモルタルの肌理が粗くて、
まあまあ滑ることはできたのだがあたまに音が響いた。
因みに濁音とは、ガ・ザ・ダ・バ行音とそれらに対応する拗音のこと。
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学生時代、某宅配業者の事務所の夜間警備をしていたことがある。
場所は南品川。
むかえに巨大な食肉市場があった。
屠らるる
番待つ豚の
交合に
呼吸を合わせし
門番居たり
明方の
ブタの交尾は
さむざむし
ヒカリ待つ
食
肉
市
場
前
吊るされし
番号もともに
肉叢の
列潔く
陽なかにいづる
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屠殺場のゆかのくろきにしみじみと戦嫌いのキジバトは眠る