むもーままめ(36)四季の窒息2023年7月23日

工藤あかね

充血した白い箱の
壁から壁へと
当たっては折り返す

春に苛まれ
真夏の日差しも浴びず
秋風の匂いも知らず
もはや真冬の凍えも忘れた

波打つ鼓動を持て余す我は
動物園に陳列さるる
生き物たちの同胞

願うことはただ一つ
凶暴にして完璧な
野生の血潮を
蘇らせること