最近のお気に入りのおかずは、浅漬けである・・で終わってしまいたいほど近頃はやる気がない。海外への旅が出来なくなって、さらに国内の旅も、音楽ライブも、外食さえも慮られるようになって、もう1年が近づいている。
ああ。
さすがに最近ちょっとしんどさがじわじわ効いてきた。出来るだけ散歩に出かけるようにはしているが、先日、雨の日が三日続いて家から出なかったら、気持ちがネガティブになり、これはウツの始まりな精神状態だとちょっとあわてた。
こういう時は、日に当たる、身体を動かす、反復運動をする、というのがよく効く。脳にセレトニンを分泌させるのである。ついでにおいしいものでも食べて幸せ物質でも供給するか。
やる気の出ない毎日ではあるが、きのうは何とか自家製味噌を仕込んだ。毎年5升のカメを2つ仕込むのだが、1日でやるのは大変なので、まずは5升瓶ひとつ分である。
乾燥大豆1.5㎏:生麹2kg:カンホアの塩850gの割合。いつもは乾燥麹で仕込むが、今年は生麹にしてみた。乾燥麹の場合は1.5kg+煮汁500㏄ で。
2日前から大豆を水に浸して戻す。冬は一晩では戻らないからだ。この量だと、ぷっくり膨らんだ大豆は3回に分けて煮ることになる。5リットルの圧力鍋で2回、並行して5リットルの普通の鍋でコトコト2時間かけて煮る。
1回分のやわらかく煮えた大豆を煮汁から上げてハンドブレンダーで潰して、麹と塩とよく混ぜる。麹と塩も3回分に分けておくと簡単。混ざったら野球ボール大に丸めて瓶に投げるように入れていく・・これを3回繰り返すと終了。表面を平らにならし、少し塩をふる。
次は酒粕の出番である。酒粕が板状になっている板粕がのぞましい。これを仕込んだ味噌のうえにぴったりとのせて隙間なく覆う。瓶と接する部分もぴっちりと密着するように伸ばしながら蓋をするのである。うちではこの上に無添加ラップを敷いて、平たい皿をのせて重しをのせる。
この酒粕蓋はカビ除けにすばらしい効果がある。1週間前に、去年仕込んだみそを開封してみたが、茶色く染まった板粕をぺりぺりとはがしていくと、下からカビひとつない美しいみそが現れた。かめと接している部分に少し白い産膜酵母がついているぐらいだ。はがした酒粕はみそもついているので、みりんを足して魚のみそ粕漬けに使える。もし酒粕にカビが生えていたら、捨てればいいのである。この酒粕蓋のおかげで、表面にカビが生える、というみそ作りの大きなストレスがあっさり解消された。酒粕蓋、最高!
乾燥大豆500gで作るなら、煮るのも1回で済むし、とても簡単なのでみそを作ったことのない方はぜひお試しください。
冷蔵庫を整理していたら、去年の春に作ったふきのとう味噌が出てきた。ふきのとうの風味はやわらいでいるものの、ご飯のお供においしく食べることができた。そろそろ今年のふきのとうも早いやつは出てくる時期。早く食べたいな。よく寝かしたふきのとう味噌もいいのだが、ワタクシは取れたてのふきのとうを生のままみじんに刻んで、味噌をのせて一緒に包丁でさらに刻みながら和えるだけの切り和えが大好きなのだ。野趣あふれる切り和えをつまみに、辛口の日本酒をきゅっとね。ふきのとうと味噌だけで完璧なつまみができます。
うちの相方も再びの緊急事態宣言でライブの仕事がなくなって家にいるので、毎日家でごはんを食べる。外食もなし、友人宅での会食もなし、という毎日がこう続くとメリハリがなくなり、正直言ってゴハンづくりにやる気が出ない。かといってスーパーのお弁当もまずいし、おいしいお惣菜屋も近所にはないし。
なんとか手間をかけずに食事を整えるには、やはり作りおきおかずをいくつか冷蔵庫に常備させておくことしかない。その中で最近のお気に入りが「浅漬け」である。本格的に何週間も塩漬けするような白菜漬ではなく、3日で食べられる冬野菜の簡単漬け。毎年かぼすを買っている九州の菊之助さんのブログで浅漬けにかぼす果汁をたっぷり入れて漬けるとうまい、というのがあり、やってみたら、本当においしかった。
白菜は株の4分の1とか5分の1とかを2センチ幅ぐらいに刻む。大根は5ミリぐらいの棒状に切る。カブはいちょう切りに。カブの葉っぱがあれば刻んで入れる。柚子やかぼすの皮を薄く刻んで少し。鷹の爪も細く切って1本分。刻み昆布があれば軽くひとつかみ、無ければ昆布を細く刻んで入れる。
とにかく、家にある冬野菜を刻んで、お好みの塩加減で揉んで、仕上げにかぼすなどの柑橘果汁をぐっと絞りこむ。カボスの場合、2~3個分。たっぷり柑橘果汁を入れるのがポイントだ。絞ってある果汁を入れてもいい。大匙2~3杯は入れたいね。
塩はふつうの漬物より、かなり薄めに。そのままばくばく食べられる塩加減で。あとは漬け物器で軽く圧をしてもいいし、そのままジップロックに入れて冷蔵庫で寝かせるだけでもいい。塩は物足りなければ後で足せばいい。
3日ぐらいで味が深まります。これはいわゆるご飯のお供のしょっぱい漬け物ではなく、和風のサラダとでも思っていただきたい。冬野菜のシャクシャクした歯触りとかぼす果汁のさわやかな酸味でいくらでも食べられます。お酒のつまみにもぴったり。
コロナに疲れ、ごはんづくりに疲れた日には、ごはんと自家製味噌のみそ汁、そしてこの冬野菜の浅漬けだけの一汁一菜でも十分なんじゃなかろうか。まあ、間違いなくうちの相方は「え、これだけ?」と言うだろうけどね‥。