新型コロナウイルス感染拡大防止のために、ライブハウスが営業できない。
ライブハウスを回って直接音楽を届けることをしていたミュージシャンは全く仕事ができなくなってしまった。文字通り、手の届く距離で唄っていた、その魅力に支えられていた仕事が全くできなくなって、どうしたものかというまま4月、5月が終わる。
山本久土(ひさと)は、PHEWがボーカルを担当するMOST、遠藤ミチロウとのMJQ、羊歯明神のギタリストで、自身もギター1本で歌う。MJQでも羊歯明神でも、1本のギターで分厚いサウンドを作り出していて、リードギターもセカンドギターも、ベースも1人でやってのける、ギタリストとしての凄さがまずあったのだけれど、ミチロウが亡くなった後は覚悟が決まったのか、歌にも磨きがかかった感じだ。率直に自分らしい歌い方で、ミチロウの曲が歌い継がれていることに魅力を感じる。
演奏することは、収入の面だけでなく、自分の生活の軸としても必要なことなのだろう。ライブハウスの協力で、無観客ライブの配信をしていて、これがなかなか良い。
ラモーンズみたいな髪型(前髪がうっとうしく伸びていて、目を覆い隠している。早く床屋に行きなさい!と叱られる髪型)で、ギターをかき鳴らし、歌う。
配信でがまんしておこう、というレベルではなく、配信でも十分いいのだ。
画面のこちらから拍手を送りながら見ている。
こんな時だから歌いたい歌、歌われるべき歌が演奏されている。
先日は、高校生の時以来だと言って、RCサクセションの「あきれて物も言えない」がカバーされた。
どっかのヤマ師が オレが死んでるって言ったってさ
よく言うぜ あの野郎よく言うぜ
あきれて物も言えない
ところが おエラ方 それで血迷ったか
次の週には 香典が届いた
前の土曜日にガンバローって乾杯したばかりなのに
オイラ その香典集めてこうして遊んでるってワケさ
ますます 好き勝手な事ができる
さあ オマエに何を買ってやろうか
ヤマ師が 大手を振って 歩いてる世の中さ
汗だくになってやるよりも 死んでる方がまだマシだぜ
「あきれて物も言えない」(作詞・作曲 忌野清志郎)
この曲を今、選んで歌う山本久土はいかしてると思う。