侵略から年寄りをまもれ!

さとうまき

戦争で犠牲になるのは女性と子どもだ!と言われるが、TVを見ていると動けない老人を一生懸命車に乗せて避難している光景もよく見る。ウクライナも高齢化がすすんでいるのだろうか。

我が家も父は94になり、母は89になった。戦争が起きたら避難させるのも大変だなあと考えていた。長生きの秘訣は、昔から母が食べ物にうるさかったから。最近ではともかく健康に良いというサプリをたくさん買っている。ところが最近認知症が出てきて、振り込みも自分ではできなくなり、何度も請求書が届く。挙句弁護士からの手紙が入っていて、「法的手段に取ります」と書いてある。僕は、ともかくそういうお金を振り込んで、「今後、一切そういう(怪しげな)ものを送ってこないでください」と電話をする。

いろいろ問題はあるのだが、最近一番頭を悩ませているのは、実家が侵略され、占領されてしまったということだった。そう、まさに戦いが始まっていたのだ。

昔イエメンで買ってきたジャンビアナイフと、シリアで買ったダマス鋼のペーパーナイフを友人に見せびらかしたくなり実家に探しに行ったときのことである。2階に行くと、侵入者によって荒らされていて、まるでウクライナの民家がロシア兵に荒らされたのと同じ状況になっていたのだ。箱に入っていたサプリメントが散乱して食い散らかしてある。そしてクソまでしていったらしい。なんだ、これは! 僕は恐怖に震えた。死体が2体転がっていた。ネズミが住み着いていたのだ。

我々には武器がなく、粘着剤のついたネズミ捕りをしかけておいて捕まえたら処刑する。すでにこの一か月で、彼ら10人(匹)を捕獲して父が処刑していった。しかし、彼らを根絶するには至っていない。サプリメントのおかげで、パワーアップし、繁殖力が半端ないのだ。ケアマネさんからも電話があった。「ヘルパーさんが、彼らの遺体を見て、ショックを受けて倒れてしまったそうです。このままでは、ヘルパーを送ることはできません」彼らは、精神的にも揺さぶりをかけてくる。台所から、寝室やリビング、あらゆるところを自由に動き回り糞を落としていく。もう許せない。こちらとしても総攻撃をかけて彼らを根絶やしにしてやる。最終決戦はすでに始まっていた。