SNSで知る宮廷舞踊愛好者

冨岡三智

今やyoutubeに多くの舞踊映像がアップされる時代になった。その当時行けなかったりまだ知らなかったりした公演の映像を見られるのは非常に有難い。もちろん今でもyoutubeにアップされないところで多くの公演が行われているけれど、情報量は格段に多くなった。そう言う私自身も、自分が主催した宮廷舞踊完全版公演の映像をyoutubeに公開している。そして、それについての問い合わせをまだ会ったことがない人からSNS経由でもらったり、それが議論に発展したりすることもある。その人たちは実際に映像を見ながら舞踊練習をしていて、抽象的で哲学的な質問などではなく、振付に関して具体的な質問をしてくる。また、そういうやり取りもなく全然知らない人だが、私のスリンピ公演の映像を見て練習したと思しき公演映像がyoutubeにアップされていたこともある。

宮廷舞踊に関心を持って踊りたいと思っている人は意外にもいるものだと知れたことが、映像公開して一番嬉しかったことである。こういう人たちの存在には今まで気づくことができなかった。留学していた時は、長くて退屈で変化がない舞踊をなぜ習うの?とよく言われたものだ。それも芸大教員や芸術関係者に。だから、一般には受けないだろうけれど、研究の参考にしてもらえたらいいと思って映像公開していた。その映像を見て踊ってみる人(それも芸大関係者ではない)が出てくるとは、実は想像していなかった。

一方芸大でも、私が学んでいた2000年前後に比べて、古い舞踊に関心を寄せたり、また宮廷舞踊の形式で新しい作品を創ることは活発になってきているように感じる。時代の志向が変わったのか、中産階級が増え伝統文化に憧れが生まれてきたのか…。その時代変化が嬉しい一方、逆風の中で習ってきた身としては、少し憮然ともしている。