夜気にくるまれ

璃葉

日付が変わる直前のこと。アイリッシュウイスキーのボトルと、1オンスのショットグラスを持った仲間が公園に現れた。何かの話の流れで、外でウイスキーを飲もうという話になったのだ。

街中にしては、その公園は広々としていた。大きな桜の木が目に付く。異様に目立つそれは間違いなくこの公園のシンボルだ。ベンチに座り、一息つく。風は強くなく、秋のひやりとした空気の漂いを手や顔で感じる。

小さなショットグラスに注がれたウイスキーを口に含むと塩っぽさやバニラ、青リンゴの味が広がった。
ちびちび味わいながらたまに煙草を吸い、仕事のこと、これからのこと、ちょっとした噂話で盛り上がる。酒が進めば進むほど話題は絶えない。軽々としたことばは夜気にくるまれ、宙へと消えていく。
夜空には惑星がぎらぎら輝いていて、明るい1等星もぽつぽつ見える。北極星も静かに佇んでいた。
とてつもなく心地いい、宝の時間である。

数時間後、さすがに寒くなったので友人宅に引っ込んだが、それでも結局飲んでしまう。酔っ払いの私たちは、うら若き頃に聴いていた音楽で朝方まで踊り、歌い狂ったのだった。