少女を過ぎてゆく 風
歳月は、 過ぐる
抱いてもくれぬおとこを かやが
見送っていた。 下根
おとこを思い乱れて、 の
かやのした根に、 つゆ
寝みだれる少女はさわる。 ばかり
少女のさわるのは、 ほどなき
くろずむ露をしたたせる暗渠か 世を
〈とそこまで訳して、老後の私が、 や
少女の日をなつかしむ。〉 思ひ乱れむ
(定家の百歌より。)