灰よ、 「はい」。
よい返辞だね、どこから声を挙げてるんだ。
「どこ」。 ああ、どこね、そう、どこなんだ。
きみはなに者?
「なに」。 うん、きみはなにだ。
「なにではない」。 そう、なにではないんだ。
Nothingだね、きみ。
「詩はだれである。 かつ、
だれではない」。
なるほど、Nobodyだ。
「なぞ」。
灰のなぞ?
「はい」。 返辞はよいけど、
どこへ行く、灰。
「どこ」。 そうなんだ、どこである。
深いなぞだね、灰の正体。
「灰って、背理」。 それなんだ、
Nobodyがゆく。 きみの背理だ。
「ある」。 そう、あるだけなんだ。
「はい」。 うれしげにきみがゆく。
(「きみ」というのはだれだろう、「だれ」。だれである。疑問符がいよいよ崩壊する。)