208 Ku・ro・ku・mo

藤井貞和

208というのは、休まずに続けて、
携帯で入稿したことも何度かあって、
この、何だか「黒雲」と書きたくて、
パソコンがまったく機能しなかった、
一週間は歌を携帯で耳に移していた。
ウクライナ語の歌を友人のサイトが、
教えてくれる、「あなたが必要なの」、
と。ええ、あなたとは歌のことです。
私の枯渇を、黒い森の木が包むよう。
幹にうつほがひらく、黒雲を吐いて、
私を包む、吟遊の証し、うれしいな。
あしたになれば忘れられる、こんな、
きょうを忘れましょうと言うやつら。
57絃という、あなたの竪琴が祈る、
黒雲は私の祈りを包む。私の祈りの、
作詞や苦しみの睡りをさらに包んで、
57絃のしたから私を促すよ、さあ、
行け、きょうを忘れるな、あしたの、
平和は、黒雲のなかから生まれ出る。
きっとだよ、私のKu・ro・ku・mo。

(散会のあとに、わたしの黒雲が、ぼんやりとけぶって消えないね。消灯のまえを、講堂は発言だけがまだ響いてる。夜空をまっ暗に二分する第一の箱には廃案がいっぱい捨てられてる。今月は作品になりませんでした。)