211 背表紙、砦、鳥よ

藤井貞和

一九九五年、ベオグラードで編んだ、『鳥のために』が、
内戦勃発のとし、山崎佳代子の詩集になって、書肆山田から

言葉の紡ぎ手たちの、善き手と手とに結ばれて、
旅の始まりでした。 鳥はどこへ、旅の終わりよ どこへ

山崎さんの言う、「本とは、生まれる魂の食物」。 「詩とは、
祈り。 闇のなかの微かな光。 渇きを癒す水」――

仲間たちの書物が砦になって、背表紙になって、
守り続けることでしょう。 守り続けてください、鳥の魂

(菊地信義に続いて、大泉史世の訃報に接します。)