217 もう一度

藤井貞和

国の利益よりも大切な何かがあると教えることのできる人間の先生。
不利益になっても表現されなければならない無言の叫びがあると教える人間の教室。

国民感情が高まっている時、理性が示す本当の価値は国民感情にないと、
はっきり言うことができる、人間の芸術家、人間の思想家。

最後に、人間の兵士たちへ。もし思想が、あなたたち兵士の持つ、もっとも人間的な、
何かをなくそうとするならば、あなたたちはその思想にさえも銃を向けるの?

(富山妙子の火種工房に集まった夜、「最後」について、「理性」について、「人間」について、202「海の道の日」をもう一度。)