あけましておめでとうございます。
2023年がどのような年になるのか、あまりよいきざしは見えません。それでもこうして日一日と過ぎていき、新しい年が明けることには少しの明るさがあると感じます。きのうと同じきょうですが、ほんの少し、どこかが明るい。東京は光に満ちた午後です。
「水牛のように」を2023年1月号に更新しました。
植松眞人さんとイリナ・グリゴレさんがゴダールに触れています。イリナさんが大学の教員試験に落ちたことは、確かに彼女にとっては試練だったことでしょう。しかし、ほんとうに試されたのは彼女なのか大学なのか、そこは考えるべきところだと思います。力を持っている側ほど試されているとわたしはいつも感じています。その大学はイリナさんを失ったのですからね。
大学生のころ両親が焼津と静岡にあわせて3年ほど住んでいたので、学校が休みになると実家に行き、静岡から路線バスに乗って御前崎までよく行きました。終点で降りて少し歩くと、海岸に出ます。見渡す限りの海は自分の小ささを単純に思い出させてくれて、その小ささは悪いものではありませんでした。砂漠のように広い砂浜が広がり、反対側には岩場が広がっていて、いつも人はひとりもいないのでした。そう、白い灯台もありました。ただこの光景を一時間くらい見て、またバスに乗って帰ってくる。一日の過ごしかたとしては抜群によかった。しかしあの御前崎にいまは浜岡原発があるのだということを北村周一さんの短歌でいやがうえにも知らされました。2023年もやはりろくな年になりそうもありませんね。
とはいえ、今年も更新できて安堵の元旦です。来月も更新できますように!(八巻美恵)