217 死者の民主主義藤井貞和 言葉によってきみは狼になれるか。 叙事詩にいわく、 「それ、いまだ、あめつち分かれず、 陰陽の区別、なかりし時、 炎のごとく、ほのかなるあかるみありて、……(中略) かすかにきざしあり。 灰白の狼を名のる者、 とじられない日に志を継ぐ。 きみの名は、などと問うなかれ。 アジアで滅ぶすべての死者に対して、 生者よ、慎みあれ」。 (ノートに書かれていた題名。)