最初に、TPPからの米国の離脱で気を抜いていた著作権保護期間の延長だが、年の瀬も押し迫って、欧州EPAに関連して、国内の保護期間も延長するとの外務省の文書が飛び出した。外務省が隠しただの隠さないだのの議論が全く盛り上がらないところが意図的な情報統制を想起させるが、モリだのカケだのといった蕎麦屋の注文よりもよっぽど取り上げられるべきだと思っている。何を考えているのやら?
さて、がらりと話題を変えて、このところ、アニメーションのビジネスモデルが変わってきたと言われている。なんとかジャパンというキャッチフレーズで日本の基幹産業にしようとされている漫画やアニメーションなどだが、年間かなりの本数が制作されて放送されているテレビアニメーションは目的によっていくつかのパターンをもっているようだ。
ひとつはビデオが普及した以後に多くなった「円盤」と呼ばれるDVDやBDに焼かれたコンテンツ販売のためのプロモーションだ。3か月12回で1クールと呼ばれる放送単位で、数千本売れると2期放送が決定するなどと言われるのはこのコンテンツ販売が目的の場合の話である。
この他に、出版社が本や雑誌の販売促進のためにアニメーションを作ることもある。
しかし、最近、言われているのは、グッズと呼ばれるキャラクター商品の販売量が本体のDVDやBDの販売よりも重要になってきたらしい。
そう言えば、アニメに関して言えば、すでに録画やレンタルで見るのではなく、ネットからのダウンロードやストリーミングと呼ばれる手法での配信で見られる機会が増えているようで、すでに円盤が売れた売れないという時代でもなくなってきている。
宮崎駿が新作を作らないとゴネてから久しいが、ようやく日本のアニメーション作家として、ヒット作家が出たと思ったのが「君の名は」の空前のヒットだろう。もはや、論評は不要だと思うがアニメーション映画の新しいスタイルを築いたように感じた。(と思っていたら、出ないはずの宮崎駿が新作を作ると言い出したが蛇足にならないことを祈ろう)
テレビ放送では、長年アニメ化が噂されながら実現されなかった「3月のライオン」がNHKから放送された。まだ、連載中の作品だが丁寧な構成で2クールの時間をかけてじっくりと映像化された。好評だったからか、間髪を置かずに、現在第二期の放送が始まっている。
現代型のアニメーションとしてはノイタミナでかつて放送された「冴えない彼女の育てかた」の第二期が放送になった。等身大のフィギュアが発売されていきなり完売したりと関連グッズの展開では話題に事欠かない作品だったが、映像配信でも放送局のサイトではなく、アマゾンの配信サイトから配信されるなど特別扱いとなった。アジアなどの地域でも根強い人気を誇っていると聞くので今後の展開からも目を離せない。ちなみに、こちらの原作はめでたく今年完結となった。現在、ファンの関心は完結まで続編が作られるのかどうかにある。まあ、コンテンツ展開だけ考えても作られる要素は大きいように思えるが。ちなみにこちらの制作委員会に名前を連ねるアニプレックスやアニメ制作を担当したA-1ピクチャーはソニーグループで、いまやソニーの稼ぎ頭の分野となっているのだよと小ネタを付け加えておく。
しばらくぶりということでは、1980年代からシリーズが続くマクロスの新作が2クール半年の期間で放送された。音楽コンテンツとともに展開する形態はマクロスらしく、今回はグループ歌手が主役となった。こちらは映画の制作が発表されるとともに、新しい作品の制作も同時に発表されている。なかなかのご長寿な作品になってきた。夏に放送された「プリンセスプリンシパル」はかわいい外見のキャラクターに似合わず世界観の作り込みのち密さとハードボイルドなストーリーのミスマッチが魅力の快作だった。
今年放送されたアニメーションのほんの少しを振り返ったが、心配なのはその製作本数が非常に多いという事だろう。制作本数が多くなれば、作画やその他の作り込みに不満の残る作品も増えてくる。1990年代のアニメブーム時にそうした劣悪な作品が増えたために視聴者のかい離が起きたことを思い出すと作品の品質を確保するための制限も必要かも入れないなどと思うが、まあ自由主義の国ではそうも言っていられないだろう。
さてさて、来年は何本のアニメーションがお眼鏡に適いますでしょうか。楽しみでもあり、楽しみでもあります。