いろいろと

大野晋

さて、先日、ケージに、一柳、コリリアーノと聴く機会があった。さすがに聴きやすい曲を選択したらしく、居心地のよいコンサートだったが、曲を聴きながら、昔、初めて現代音楽を聴き始めた学生時代を思い出した。
高校の音楽ではさすがにロマン派止まりで、学校教育で聴く現代音楽はブリテンだけとなんとも偏った傾向だなどと考えながらも、ストラヴィンスキーを最初に聞いたときの衝撃やベルク、シェーンベルグ、ブーレーズに、ショスタコーヴィッチ、プロコフィエフと今や古典となろうとしている曲を始めて聴いたときのなんとも言えない不安感を思い出して、ケージをのほほんと聴いている自分に驚いていたりする。音の感覚を解放して、きれいな和音だなあ、などと聴いているのだから慣れとはなんとも怖ろしいものである。

と、言いながら、モーツアルトを聴きながら、キーボードを打つ自分もいるわけで、なんなんでしょうね?である。ちなみに、最近のお気に入りは、スメタナの「我が祖国」のダブルピアノ版のCDだったりする。

さて次のもうひとつの話題は本の人相書きについて。

手配書:古い雑誌
大きさはたぶんA5サイズ付近。戦中なので紙質は悪いはず。表紙には右から横に「につぽん」の文字。
発行:名古屋新聞社出版部、編集:興亜日本社
昭和16年7月号〜昭和17年1月号
大坂圭吉(もしくは大阪圭吉):弓太郎捕物帖の掲載号
S16.7:屋形船異変
S16.8:夏芝居四谷怪談
S16.9:五人の手古舞娘
S16.10:千社札奇聞
S16.11:花盗人
S16.12:丸を書く女
S17.1:ちくてん奇談

と何年も前から手配をあちらこちらにかけているがなかなか見つからない。これは著作権保護期間50年の悪い見本だろう。死後50年もたてば、著作はどこにも見当たらなくなるかもしれない。それを考えると、もっとパブリックにして著作を読んでもらうことを良しとすべきなのかもしれませんね?

さてさて、こちらの本は、そろそろ、「開運、なんでも鑑定団」ででも募集してみようかな?