2017年8月1日(火)

水牛だより

東京では湿度の高い八月のはじまりの日です。ここ何日か、夏の快晴はありません。とはいえ、太陽からの直射がないと、道を歩くのは案外快適なので、どこへでも歩いて行けてしまうのですが、真夏なのに照りつける直射がない昼間はちょっぴりさみしく、どうしたのかなと思ってしまう。勝手な人間です。

「水牛のように」を2017年8月1日号に更新しました。
来るはずの原稿を待ちつつ、そのあいだに少々あそんだりもして、こうして更新できることは、原稿を書いて送ってくださるみなさんのおかげです。何度も書いているように、催促はほとんどしない方針を確立できたのは、やはり水牛という小さなメディアを貫いてきたからだと思っています。編集者として意識的あるいは意図的にまとめあげるのではなく、植物がゆっくりと繁茂していくようにまかせてみよう。そう考えています。それはひとつひとつの原稿のことでもあり、それらがずらずらと並んでいる毎月のことにも言える、複雑系です。

エドワード・D・ホックというミステリー作家の怪盗ニックシリーズを愛読してきたのですが、「怪盗ニック全仕事」にまとめられたのを機に年代順に再読しはじめました。価値のないものを盗むことだけ引き受けるプロの泥棒のいくつもの短編です。寝る前のひとときにひとつ読んで、ふふふと笑うといいのです。

それではまた!(八巻美恵)