2022年7月1日(金)

水牛だより

こんなに暑い夏のはじまりはさすがに経験したことがありません。暑さや雨の少なさに加えてコロナ感染者数の増加も心配ですが、それでも日々は過ぎていきます。
タイの映像作家として有名なアピチャッポンは、あるインタビューのおしまいに「ただずっと何もしないでいるのがいいんだ。それがぼくのまわりの自然と、この現在とリンクしている」と言っています。考えるのではなく、何もしないで感じるのだ、と熱帯の人におしえられたような気がします。

「水牛のように」を2022年7月1日号に更新しました。
ここ一週間ほどの猛暑のせいか、今月はおやすみします、というメールが何通か届きました。しかたのないことです。杉山洋一さんやアサノタカオさんのように日記をつけている人はこういうときにはとりわけ強いと感じます。もっとも杉山さんはミラノにいるから、この暑さとは関係がなさそうですね。

さて、今月のビッグ・ニュース。7月21日にイリナ・グリゴレさんの本が出ます。『優しい地獄』というタイトルで亜紀書房から発売です。イリナさんと初めて会ったその日に、日本語による彼女の本を作ることが目標として立ち上がりました。数年という時間がかかってしまいましたが、ようやくその責を果たすことができて、うれしいです。一冊にまとまってみると、連載のときとはまた違って、イリナさんのこれまでの生きかたが鮮明になり、より興味深く読むことができます。日本語でなければ書けなかった本です。どうか楽しみに待っていてください。

それでは、来月もまた更新できますように!(八巻美恵)