2023年2月1日(水)

水牛だより

きょうの東京は3月の気温だったようですが、午後になって外を歩くと北風が強く、とても3月とは思えない寒さでした。気温は温度計で測っただけの数値にすぎず、人間の体が感じるのは数値ではないことを思い知らされます。

「水牛のように」を2023年2月号に更新しました。
半年ぶりに斎藤真理子さんの「編み狂う」が帰ってきました。待っていてくださった人は多いと思います。お待たせしました。これからも続きますからね。商店街のカフェで編んでいる人には声をかけたくなるのかもしれません、ある種のちいさな解放区(斎藤さんによれば「劇場」)がそこにあるから。編み物は糸と針があればできるせいなのか、男性にも好まれていると思います。緻密に編む橋本治、おおざっぱに編む田川律、そして独身時代の津野海太郎も。最近読んだ『キャスリーンとフランク』(クリストファー・イシャウッド 横山貞子訳 新潮社 2022)では、フランクが戦場でだったかな、編み物をするところがあって、感銘を受けました。
この水牛は、だらだらと続けているにすぎないのですが、下窪俊哉さんの編集する『WSマガジン』はあきらかに水牛のなにかを継ぐもののようです。「小さな石を集め、投げ続けることに失敗も成功もない。ただ集め、投げるだけだ。」に共感します。続けてくださいね。
藤井貞和さんの詩集『よく聞きなさい、すぐにここを出るのです。』が読売文学賞(詩歌俳句賞)を受賞しました。不思議な藤井さんの詩を毎月読めるのは水牛のしあわせのひとつです。
篠原恒木さんが編集した片岡義男『僕は珈琲』には、めずらしく実名入りで私も登場しています。片岡さんとの楽しい時間はこれからも。

編み物好きだった田川律さんの訃報が届いて、田川さんとともに過ごしたあれこれをブログに書こうと思いましたが間に合わず。スミマセン、書きますので、しばしお待ちください。

それではまた!(八巻美恵)