きょうは先月1日とおなじ十六夜の月です。見上げると、「木枯らし途絶えて冴ゆる空より」と歌いたくなる冬の夜空。
「水牛のように」を2020年12月1日号に更新しました。
今月初登場の工藤あかねさんはソプラノ歌手です。ひと月ほど前に、コンサートの後のちいさな打ち上げの席で偶然隣にすわり、どこまでが本当なのかわからないおもしろいお話を聞いているうちに原稿をお願いしていたのでした。
こうして毎月律儀に水牛を更新している私は室健二さんと同じ年の生まれです。室さんとおなじようにコンピュータとは前世紀からの長いつきあいで、便利で手放せないものだとは思っているのですが、室さんとおなじように、最近は実に面倒くさいと感じています。自動車は運転しませんが、コンピュータが車のハンドルのようになってほしいという願いはおなじです。競争や独自性とかの追求でなく、マジでほんとうに使いやすくしてもらいたいものです。
福島亮さんによる「水牛を読む」の1と2も公開されています。力作です。
「水牛」を読む(1):『水牛新聞』創刊号(福島亮)
「水牛」を読む(2):『水牛新聞』第2号(福島亮)
お知らせをいくつか。
さとうまきさんはシリアの青年が描いた水牛の絵とイラクのサブリーンが生前に描いた「ナツメヤシと太陽」をカップリングして、年賀状を作りました。収益はシリアの青年の治療費にあてられます。
12月20日まで予約受付中!
http://teambeko.html.xdomain.jp/team_beko/postcard.html
管啓次郎さん翻訳のパティ・スミス『M Train』は『ジャスト・キッズ』につづく回想録です。
今月お休みの越川道夫さんはおそらく新しい監督作品の『あざみさんのこと』で忙しいのでしょう。
さらに、今月お休みの斎藤真理子さんの翻訳による『アヒル命名会議』が出たばかりです。
水牛ではおなじみの藤本和子さんの『ブルースだってただの唄』がちくま文庫になりました。『塩を食う女たち』に続く黒人女性の聞き書きです。読んでいるうちに頭のなかが、というのか、頭の上が、というのか、スカッとして、しだいに姿勢がよくなってきます。本を読むことの快楽をぜひ経験してください。文庫にするために、くぼたのぞみさん、岸本佐知子さん、斎藤真理子さんと私との四人で力を合わせました。実際に会って相談した最後は去年の12月だったはず。その後は相談のようなことはしないで、それぞれができることをしただけ、というのが実はとてもこころよかったのだと思います。コロナのせいなのですけどね。編集担当者は男性ですが、著者の藤本さんと連絡がとれなくなったときには、シカゴまで訪ねていきます、と言うのでした。彼の熱意がすべてをあるべきところにまとめてくれたのだと思います。
それではよい年をお迎えください! 新年も更新できますように。(八巻美恵)